ご自宅に抗生物質(抗菌薬)が残っていたりしませんか?また同じような症状出た時に使えるかも、などという理由で保管されている方も中にはいるかもしれません。近年、抗生剤の不適切使用が問題となっており、国として適正使用推進が行われています。
では、お薬をもらった患者様ができることを、適正使用しないとどうなってしまうかなど説明したいと思います。
薬剤耐性菌の出現
薬剤耐性菌とは、一般的に抗生物質や抗生剤と呼ばれる「抗菌薬」の不適切な使用などにより、抗菌薬が効きにくくなる、または効かなくなることです。不適正な抗生物質の使用に対してこのまま何も対策が講じられなければ、2050 年には全世界で年間 1,000 万人が薬剤耐性菌により死亡することが推定されております。
不適切な使用とは?
1.用法用量通り飲まない
医師や薬剤師から「1日3回服用」と指示されたのに対し自己判断で減らして飲む、症状が良くなったからと5日分の抗菌薬を数日でやめるなど、適切な服用期間や量を守らないこと。
→体内の細菌を十分に死滅させることができず、生き残った細菌は、薬剤耐性を持つ「薬剤耐性菌」となることがあります。
2.ネット通販などの抗生剤の個人輸入
一部の外用薬(塗り薬)を除いて、抗生剤は薬局では販売はできません。適正使用のためには医療現場での迅速な検査です。患者さんが感染している細菌の種類や薬剤耐性の有無を調べることで、効果的な抗菌薬の投与が可能となります。
→最近の種類によって効く抗生剤・効かない抗生剤があります。
3.自宅にある抗生剤を使う
自己判断で飲むことは不適切な使用にあたります。1.2の理由同様です。
よくある質問
・細菌とウイルスの違いは?
→細菌はひとつの細胞からなる生き物で、大腸菌やブドウ球菌などが含まれます。最近は自らの装置や遺伝子を使って自力で分裂して増えていくことができます。ウイルスは細胞ではなく、遺伝子とタンパク質など物質の集まりの微生物です。例えばインフルエンザウイルスやノロウイルスなど。ヒトや動物の細胞の中に入り込んで、その細胞の中の装置を借りて遺伝子やタンパク質を合成してもらうことで増えることができます。
・ウイルスに抗生剤は効かないの?
→効きません。
・風邪をひいたので抗生剤が欲しい。
→主治医の診断による細菌による感染症が疑われ、抗生剤での治療が必要だと判断された場合に処方されます。
まとめ
薬剤師からも必要に応じてヒアリングを行い薬の監査、また飲み方などについても服薬指導という形で適正使用に努めております。
抗菌薬の適正使用は持続可能な社会の実現に向けたSDGs(持続可能な開発目標)の達成にもつながります。以下の4つを意識しましょう!
①医師の診断により処方②指示通り服用③取っておいた薬を使わない④日々の感染症対策
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